第二編   第7話


鈴木豊三郎

       ネクタイの巾とは 
 

 第一編ではネクタイの長さをテーマにしましたので、今回は巾についてすこし思いをめぐらしてみましょう。ネクタイの巾は一番目立つ所です。巾が広いか狭いかその時々により結構違っています。一番狭いと6センチぐらいでしょうか?広い時は一番広くて12センチという時がありました。でも長くは続きませんでした。何しろまるでするめを前にぶら下げてるようなものでしたから。その上結ぶ部分もそれなりに広く結びづらくて苦労していたようでした。でもそれが流行と言うものなのでしょう。日本人の平均身長から行くと丁度良い巾と言うと9センチ前後でしょうか。この位の巾になると暫く変りません。いくら流行でも丁度よいときは安心するのでしょう。今がその時です。

ネクタイの巾は、1930年代と60年代の終わりから70年代にかけては、10センチ以上と極端に広くなりました。また、40年代から50年代にかけて6センチ以下と細くなっていました。巾が変わる大きな要素は二つあるように思います。第一は、スーツの襟巾と密接に関係していることです。スーツの襟巾が広くなるとそれに合わせて、ネクタイの巾も広くなります。だいたい襟幅とネクタイの巾はほぼ同じだと言われています。 もう一つは景気の良し悪しで変化するようです。景気のよい時はたくさん材料を使って値段を高くしても売れますが、逆の場合は細くしてコストを抑えて安くするのでしょう。

40〜50年代は戦争で物資が不足し、ネクタイの値段は統制で思うような値段がつけられませんでした。そんな時代は細くならざるを得なかったのでしょう。これは流行と言うより、世相を映した鏡のような気がします。景気のよい時は人間の志向も積極的になるでしょうが、反対の時は細い方が気が楽なのでしょう。おおよそリンクしているように思います。ところで、使わなくなったネクタイどうしていますか?。3〜40年周期で流行は繰り返すと言いますので、とっておくと又最新流行になる時が来そうです。でもその頃はリタイアしてネクタイは不要になっている頃かも。そして、若い世代の人たちが、めずらしがって3〜40年前のスタイルを追っていき、永遠に流行は続いていくのでしょう。

 現在、先ほどお話しましたように、今一番日本人の体格に合っており、暫く続くようですが、さあ、そのあと広くなっていくか、それとも狭くなっていくか興味のある所です。これが判りましたら、今お読み下さっているあなたは、立派なファッションデザイナーの素質充分です。流行は一人一人の好みの集合体です。何しろネクタイは、私共が流行を予測しても良く外れますので、面白いかもしれません。お茶でも飲みながら、どうなるかいろいろ議論に花を咲かせましょう。

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